Fender Stratocaster Standard 1983 E3 'Two Knobber'

July 2,2020 Camera:Panasonic GF3,Olympus TG5


モデル概要

Fenderは、Leo Fenderさんが1950年より前にラジオショップとして興した会社で、1948年にテレキャスター、1954年にストラトキャスターを送り出し...という会社。歴史的な書物をじっくり読んできたが、あまり商売っ気はない人だった様子。1960年代に体調が悪くなったこともあり、CBS(Colombia Broadcasting System)にいったん買い取ってもらい、80年代にそのときヤマハから引っこ抜かれてきた人たちがLBO(と、本に書いてあった。MBOじゃないのね。だが一応信用する)を実施し、その後経営者交代がありながらブランディングを強化、現在に至るという会社だと思料する。


さて、1980年代、CBS末期だと思うがギターが売れなかったらしい。ストラト、テレキャスター、レスポールもどきがはびこって、本家が売れなくなったということか。経営が傾きつつあったころにDan Smith(LBOした、当時の経営者だと思う)ストラト、Elite、そしてこのTwo Knobber = Standardが出てきたみたいなのだ。まずDan Smithは、当時デカヘッドなどの装いだったFenderギターに、50'sの香りを入れなおしたもので、フェンダーの復活ののろしだったみたい。

Eliteは、現在もDeluxe,Elite,Ultraの流れがあるが、その源流のようなギターみたい。色々再先端の装備を施したギターということか。

上記2つは、新しい技術とコストが掛かったギターなんだけど、このStandardはどうやらコストダウンの塊だった様子だ。他の年代だったら穴が空いているところに、穴がない。他の年代なら3つあるものが、2つしかない。ただ、プレイアビリティはDan Smith、またその後のAmerican Standardなどと全く同じネックを使っていることから、この点では手抜きはなさそう。というのは、オレが使っているE9、つまり1989年と思われるAmerican Standardとまったく同じネック構造なんだよね。

コストダウンとは

多分、使われているパーツのクオリティは、その他の様々なモデルとそん色ない。逆にそれらのコストを落とす作業自体が大変レイバーコストが掛かるのではないかと思われる。違いは以下だ:

・トーンがマスタートーンのみになっている。=トーンコントロールが1こ、省略されている。その分、材料原価が掛からない。配線が早く済む。
・ジャックの穴が省略され、ジャックはピックガード上に移動している。ざぐり1個の作業が省略される。
・これら含めて、電気系パーツがすべてピックガード上にある。組み付け時間が短縮される。
・ストラトキャスターとしてシンクロナイズドトレモロではなく、新型であるフリーフライトトレモロが装着されていて、ざぐりの量が少ない。これも作業省略。もう少し生産工程省略の観点で行くと、裏側にざぐり(穴)がない、つまりギターをひっくり返す必要がない。これは工程上意義は大きい。
・しいて言えば、ピックガードを留めるボルトが1本多い。これはジャックへのケーブル抜き差しによるピックガードの破損対策だろう。


これら以外は、塗装(このころはスタンダードなポリエステル)などもきちんとされている。プレイアビリティ、質感、楽器としての存在などは毀損しない中で、いかにコストダウンするかが図られたモデルと言える。原価を抑えながら価値は保ったのではないかと。

音は

もともとハムバッカーがエライと思ってハード目の音楽をやっていたオレは大学時代に改めてファンク覚醒する。幼少、中学でも聴いてきていたが、ギターで弾こうという気がなかった。が、長崎で当時「音姫」に参加してから(由来は、TOTOのトイレで音がざーっとする、あれである)シングルコイルでがしがしと弦をしばくことに快感を感じるようになる。この時は友人・スミダ氏のNoブランドのストラトだった。

90年以降になり福岡でこれを購入、2020年現在に至るわけだな。

構造的に、繊維断裂が小さい、通常のストラトに比べて質量のあるギターといえるかもしれない。アームのざぐりはそこそこあるものの、正直テレキャスターのようなエッジのある音がする。生音、クリーントーン、また歪ませても一本線が通った感じの音がして、あっという間に気に入ってしまった。このページの冒頭の動画は、エフェクターなしのブリッジピックアップの音をラインで録ったもの。軽ーくコンプだけ掛けてあるけど。

構造

わざわざ、たかがストラトで構造まで持ち出すとは。でもまあ、他の年代のストラトと違うので見てやってくださいな。冒頭に書いた通りコストダウンのための省略がされているギターなんだけど、結果がプラスに作用したという風に考えていい。この↓画像の通り、トレモロユニット(なぜ、この頃はトレモロという言葉を使っていたかはオレは知らん。本来はヴィブラート)が全てボディ上側から装着されている。構造的には、逆にコストが掛かったかもしれんが。またスプリングレートをいじりたい人にとっては、最高に使いにくいのは間違いない。でも、多くのユーザーは一度セッティングすればそう変更はしないだろう。オレはある時からなぜか使わなくなっちゃったので、問題ない。

また、ボディにアースのボルト?があるのが、どういう意図なのかオレは理解していないが、アースが1本多い。指で指しているところは理解できるが。
この画像↓は、既に工事しなおした後だね。コンデンサーを違うのにしてしまった。オレ、トーン10で弾くからあまり違いはわからん。
完成!なお、この頃はしつこいがコストダウンが最重要課題なので、ピックガードも1プライの、白だった。このべっ甲柄はオレが買ってきて付けたもの。Fender純正だったんじゃない?
全体のイメージ。2ノブなのと、フリーフライトトレモロ、またジャックのザグリがないのがポイントだな。ネックは、本当にその後のアメリカンスタンダードと同じなのだよ。
このストラトの謎。これだけなのか、他の個体もそうなのか、だけど。左から目をやっていくと、非常にNCルーターの制御が丁寧で、ボディの加工がきれいだということがわかる。しかし...
なぜ、このトレモロの周りだけ木の加工がテキトーなのか?ww
オマケ。ナットも変更済み。ブラスのふくよか且つ引き締まった音が好き。また、ギターを買うときはできる限りトラスロッドへのアクセスがヘッドからできるものを選んでいる。
こんなギターだ。コレクター筋からすると、70年代のデカヘッドでもなく、ヴィンテージ感が低いこと、またコストダウン対象だったことから人気は低いようだが、音質はいいし、扱いやすいし、見つけたら購入を検討してもいいんじゃない?なお、Dan Smithと言われる同時期の物とは別物なので、この単なるスタンダードを Dan Smith と思ってマーケットに出している人がいるが、それは間違い。

Have fun!!